エコキュートの追い焚き機能がまるわかり！仕組みや足し湯との違い・電気代への影響を解説！

「エコキュートの追い焚き機能を使いたいけど電気代が心配」「高温足し湯との違いがわからない」と、お悩みではありませんか？

エコキュートの追い焚き機能は、省エネで快適な入浴を実現する重要な機能です。

この機能の仕組みや電気代への影響を理解すると、より効率的にお湯を再使用し、年間数千〜数万円の光熱費節約につながる可能性が高まります。

この記事では、エコキュートの追い焚き機能の仕組みから、電気代への影響、効果的な使用方法まで、詳しく解説します。

ぜひ最後までお読みいただき、あなたの家庭に最適なエコキュートの使い方をみつけ、入浴満足度と節約の両立を実現しましょう。

エコキュートの追い焚き機能の仕組み

エコキュートの追い焚き機能は、ヒートポンプ技術と貯湯タンクの熱を利用し、効率的かつ経済的にお湯を温め直すシステムです。

ここからは、この機能の仕組みと特徴について詳しく説明します。

熱交換器（ヒートポンプ）を利用した温め直し方法

エコキュートの追い焚き機能は、ガス給湯器のように直接火で温めるのではなく、貯湯タンク内に設置された熱交換器（ヒートポンプ）を利用します。

具体的な流れは、以下の通りです。

• 循環：浴槽のぬるくなったお湯が循環ポンプによって引き上げられます。
• 熱交換：引き上げられたお湯は、貯湯タンク内の熱交換器を通過します。
• 再加熱：熱交換器内で、タンク内の高温のお湯から熱を受け取り、お湯が温められます。
• 戻し：温められたお湯が再び浴槽に戻され、湯温が上昇します。

この方法により、新たに水を加えることなく既存のお湯を温め直せるため、水道代は一切かかりません。

ただし、電気代は発生しますが、貯湯タンクの熱を利用するため効率的です。

タンクのお湯と浴槽のお湯が混ざらない仕組み

エコキュートでは、追い焚き機能を利用しても、タンク内のお湯と浴槽のお湯が直接混ざることはありません。

再加熱されるのはあくまで浴槽の湯のみであり、貯湯タンク内に貯められている清潔な給湯用のお湯は、完全に分離・保管されています。

この二重構造の仕組みにより、浴槽のお湯がタンク内に逆流することなく、タンク内のお湯は常に清潔に保たれます。

また、入浴剤を利用したときの影響も少なく、安心して利用できるのがエコキュートの特徴の1つです。

フルオート／オートの追い焚きの仕組み

エコキュートの機種には、主にフルオートタイプとオートタイプがあり、それぞれの追い焚き機能や使い方が異なります。

タイプ	追い焚き機能の有無	便利な自動機能
フルオート	有	自動保温・足し湯、自動配管洗浄など、湯量や温度を自動で管理する機能が充実
オート	無 ぬるくなったら「高温足し湯」で温かいお湯を追加する方式	自動お湯はり、自動保温（※メーカーによる）はあるが、減った湯量を自動で足す機能は基本的にない

現在、多くの家庭で導入されているのは、利便性の高いフルオートタイプです。

オートタイプは追い焚きができないため、湯温が下がった際はタンクの熱いお湯を直接足す「高温足し湯」で対応する必要があります。

残湯量が少ないと追い焚きできない理由

フルオートタイプのエコキュートで追い焚き機能を利用するには、貯湯タンク内に一定量の熱源となるお湯が残っていることが必須条件です。

これは、追い焚きの仕組みが、貯湯タンク内の熱交換器を通して、タンク内の高温のお湯から熱をもらっているためです。

• 残湯量が十分な場合：タンクの熱を利用して、効率的に追い焚きが可能。
• 残湯量が非常に少ない（湯切れに近い）場合：熱源となるお湯が不足しているため、追い焚き機能が停止したり、ヒートポンプを急遽運転させる事態につながる可能性がある。

追い焚きは「お湯を沸かす行為」ではありませんが、タンクのお湯を消費する行為であると理解し、残湯量を確認するようにしましょう。

エコキュートの追い焚きは電気代が高い？

エコキュートの追い焚き機能は、高効率なヒートポンプ技術を利用しているため、ガス給湯器と比べると省エネ性能が高いといわれています。

しかし、電気代は使い方や契約プランによって大きく変動します。

ここからは、追い焚き機能が電気代に与える基本的な影響や、コストについて詳しくみていきましょう。

追い焚き時の電力消費量

エコキュートで追い焚きをおこなう場合、必要な電力量は1回あたり約1.5kWh相当です。

これをもとにすると、電気料金が31円/kWhの場合、追い焚き1回あたりの電気代は約46.5円です。

ただし、追い焚きにかかる消費電力（kW）は、外気温や設定温度によって変動します。

たとえば、一般的なエコキュートの消費電力は、冬季以外で0.95kW（950W）、冬季では1.50kW（1500W）です。

冬季（外気温が低いとき）の電力消費が増加するのは、ヒートポンプがより多くの熱エネルギーを運ぶ必要があるからです。

この基本コストを理解し、他の機能との違いを確認していきましょう。

エコキュートの追い焚きと高温足し湯の違い・他機能との比較

エコキュートには追い焚き以外にも、お湯を温めるための便利な機能が備わっています。

ここでは、追い焚き・足し湯・保温という主要な3つの機能の違いと、最適な使い分け方を詳しく比較してみましょう。

足し湯機能（高温足し湯）との違い

足し湯機能（高温足し湯）は、タンク内の高温のお湯を直接浴槽に足す機能です。

追い焚き機能との主な違いをみていきましょう。

比較項目	追い焚き	足し湯（高温足し湯）
仕組み	浴槽のお湯を循環させて温める	タンクの高温のお湯を直接浴槽に足す
エネルギー効率	熱交換を利用するため、比較的効率がよい	貯湯タンクの高温のお湯を直接使用するため、追い焚きに比べてエネルギー効率がよい
水位の変化	変化なし	上昇する
使用タイミング	湯温が下がったとき	湯温が下がったときや、水位を上げたいとき
温度上昇の速さ	徐々に上昇	比較的早く上昇
コスト	電気代がかかるが、水道代は発生しない	水道代がかかるが、電気代は比較的安価

足し湯機能は、水位を上げながら温度を迅速に上げたい場合に最適です。

一方で、追い焚き機能は、お湯の量を維持しつつ、長時間入浴したい場合や水位を上げたくない場合に効果的です。

状況に応じてこれらの機能を適切に選択して使用すると、より快適で経済的な入浴環境を実現できます。

保温機能（自動追い焚き）との違い

保温機能（自動追い焚き）は、浴槽の温度を一定に維持する機能です。

手動で操作する追い焚き機能とは、目的と作動タイミングが異なります。

比較項目	追い焚き（手動）	保温機能（自動追い焚き）
作動のタイミング	ユーザーが必要なときに手動で操作	設定した時間帯に自動的に作動し、浴槽の湯温を維持
エネルギー効率	必要なときのみ作動するため、使用頻度によってはエネルギー効率がよい場合がある	常時作動するため、使用頻度が低い場合はエネルギーを無駄に消費する可能性がある
使用目的	湯温が下がったときに温め直すために使用	長時間湯温を一定に保つために使用
温度調整の柔軟性	その都度希望の温度に調整可能	あらかじめ設定した温度を維持

家族全員が順番に入浴するような場合、保温機能を利用すると便利ですが、同時に不必要な電気代も発生する可能性があります。

そのため、家族の入浴パターンや使用頻度に応じて、これらの機能を適切に使い分けることが重要です。

たとえば、家族が集中して入浴する時間帯は保温機能を利用し、それ以外の時間は必要に応じて追い焚き機能を使用するなど、柔軟な使用方法の検討がおすすめです。

状況に応じてこれらの機能を適切に選択して使用すると、快適性と経済性のバランスがとれた入浴環境を実現できます。

浴槽の温度・残湯量・季節による最適な使い分け

追い焚き・足し湯・保温の機能をもっとも効率的に使い分けるには、浴槽の冷め具合・タンクの残湯量・季節の3つの要因を基準に判断しましょう。

判断基準	状況	おすすめ機能	理由
浴槽の湯温	1〜2℃ぬるい	追い焚き	少量の熱源で済むため効率的
	5℃以上冷めている	高温足し湯または排水して再度お湯はり	追い焚きでは時間がかかりすぎて非効率
タンクの残湯量	多い	高温足し湯	夜間電力で沸かした熱湯を使うため、電気代がもっとも安価
	少ない	可能なら排水し再お湯はり	追い焚きに必要な熱源が不足し、機能停止や昼間の高額な沸き増し運転を誘発するリスクが高い
季節	冬季（外気温が低い）	保温機能の活用と湯量の調整	外気の影響で冷めやすいため、冷め切ってしまう前に保温機能を活用するか、そもそもの湯量を減らして冷めるのを防ぐ工夫が必要
	夏季（外気温が高い）	保温機能はオフ	外気温で冷めにくいため、必要な時だけ手動で追い焚き・足し湯を使用

どの機能を選択するか迷った場合は、まずタンクの残湯量を確認しましょう。

残湯量が十分であれば、高温足し湯がもっとも迅速で経済的な方法です。

残湯量が少ない場合は、追い焚きや保温機能は避け、昼間の高額な沸き上げを承知で足し湯をおこなうか、再お湯はりを検討してください。

エコキュートの追い焚きを使うときの注意点

エコキュートの追い焚き機能は非常に便利ですが、使い方やメンテナンスを怠ると、電気代の高騰や機器の故障につながるリスクがあります。

ここでは、長期的に快適かつ経済的に利用するための、注意点を解説します。

追い焚きに向かない時間帯がある

エコキュートの追い焚きにかかる電気代は、契約している時間帯別料金プランに大きく左右されます。

時間帯別料金プランは、昼間の電気代が夜間に比べて非常に高くなるといった特性があります。

時間帯の例	料金単価の傾向	コストへの影響
夜間時間帯 （例：22時〜翌8時）	安価 （数円〜十数円 / kWh）	追い焚きコストは数十円で済む場合が多い
昼間時間帯 （例：10時〜17時）	高価（夜間の約2〜3倍）	昼間の利用はコストが跳ね上がるため、避けるべき

夜間の安い電力で賄われる貯湯タンクの熱を利用するのが、エコキュートの基本です。

電気代が高い昼間の時間帯に何度も追い焚きを利用すると、予想以上に電気代が跳ね上がってしまうため、注意が必要です。

【関連記事】エコキュートの電気代が安い時間帯は？電気代節約のコツを解説

追い焚き配管・フィルターの汚れが故障の原因になる

追い焚き機能を長く、効率良く使い続けるには、配管やフィルターの定期的なメンテナンスが不可欠です。

エコキュートの追い焚きは、浴槽のお湯を循環させて戻す仕組みです。

この循環経路には、皮脂や垢・入浴剤の残りカスなどが溜まりやすく、以下のような問題を引き起こします。

• 効率の低下：フィルターや配管内に汚れが蓄積すると、お湯の循環が悪くなり、熱交換の効率が低下します。
  その結果、設定温度まで温めるのに余分な電気代と時間がかかってしまいます。
• 故障のリスク：循環ポンプに負荷がかかったり、汚れが固着することで、機器の故障や寿命の短縮につながる可能性があります。
• 衛生面の問題：配管内に雑菌（特にレジオネラ属菌など）が繁殖し、不衛生な状態のお湯が浴槽に戻る原因になります。

メーカーが推奨する頻度で、市販の洗浄剤や自動配管洗浄機能を利用し、定期的なメンテナンスをおこないましょう。

【関連記事】エコキュートのメンテナンス方法は？お手入れのペースや具体的な掃除のやり方を解説

入浴剤の種類によっては配管を傷めることがある

エコキュートの追い焚き機能を使用する際は、入浴剤の選び方にも注意が必要です。

一般的な入浴剤には、機器内部に付着しやすい成分が含まれていて、これがエコキュートの配管やフィルターに悪影響を与える可能性があります。

入浴剤の成分がフィルターに溜まると、追い焚きの効率が低下し、故障の原因になることもあります。

したがって、各メーカーが推奨する入浴剤の使用を検討しましょう。

また、定期的にフィルターや配管の清掃をおこなうことで、トラブルを未然に防ぎ、機器の耐久性を保つことが重要です。

入浴剤の種類に注意
硫黄、塩分、アルカリ、酸などを含む入浴剤は、エコキュートの配管や金属部分を腐食させる可能性があるため、使用を避けましょう。
粉タイプや白濁したタイプ、とろみのあるタイプの入浴剤も推奨されていません。

自動配管洗浄機能の活用
入浴剤を使用する際は、自動配管洗浄機能を「入」に設定すると、配管内の残留物を洗い流せるため、故障を防ぐことができます。

入浴剤の混合を避ける
複数の入浴剤を同時に使用すると、化学反応によってエコキュートに悪影響をおよぼす可能性があるため、単体で使用しましょう。

メーカー別の推奨入浴剤を紹介します。

メーカー	推奨される入浴剤の例	使用禁止成分・タイプ
ダイキン	バスクリンすべての入浴剤 （一部例外あり）	酸、アルカリ、硫黄、塩分
日立	花王「バブ」 バスクリン「バスクリンときき湯」 アース製薬「バスロマン」	酸、アルカリ、硫黄
パナソニック	にごりタイプ以外の「バブ」「バスクリンときき湯」 （フルオートの場合）	酸、アルカリ、硫黄 とろみ・にごりタイプ
三菱電機	花王「バブ」など	硫黄、塩化ナトリウム 炭酸ガスで発泡させるもの
コロナ	花王「バブ」 バスクリン「バスクリンときき湯」 アース製薬「バスロマン」	にごりタイプ

各メーカーによって推奨される入浴剤が異なるため、使用前に必ず取扱説明書を確認し、適切な入浴剤を選択することが大切です。

注意点を踏まえた電気代節約のコツ

上記で解説したリスクを踏まえ、エコキュートの追い焚きで電気代をおさえるための実践的なコツを紹介します。

昼間の沸き増しを控える
エコキュートは夜間の安い電力を利用してお湯を沸かすため、昼間に使用すると高い電気代がかかります。昼間の沸き増しは、手動・自動にかかわらず避けることで電気代がおさえられます。

自動沸き増し機能を使わない
自動でお湯を沸かす機能がある場合、その機能をオフにすると無駄な電気代を節約できます。その日にお湯を使わない場合は、この機能を停止しましょう。

高温足し湯を利用する
お風呂のお湯が足りなくなった場合、追い炊きや自動保温よりも高温足し湯（さし湯）を利用したほうが省エネです。ぬるくなったお湯を温め直すよりも、新たに熱いお湯を加えると効率的です。

ピークカット設定を活用する
電気料金が高くなる時間帯には、自動沸き増しをおこなわない設定にすると、無駄なコストを削減できます。特にピークタイム前には残湯量を確認し、必要であれば事前に沸き増ししておくことが重要です。

これらの実践で、エコキュートの追い焚きを利用しながらも、電気代を効果的におさえられるでしょう。

【関連記事】エコキュートの電気代はどれくらい？安くできる節約方法やシミュレーションを紹介

エコキュートの追い焚き機能Q＆A

ここでは、エコキュートの追い焚きについて、よくある質問と回答を紹介します。

リモコンに「エラーコード」が表示されたらどうすればいい？

リモコンにアルファベットと数字が組み合わさったエラーコードが表示された場合は、まず取扱説明書でコードの意味を確認しましょう。

一般的なエラーコードは「湯切れ（残湯量不足）」や「循環ポンプの異常」などがほとんどです。

こういったエラーは、電源リセット（ブレーカーのON/OFF）で復旧することがあります。

もし、頻繁に同じエラーコードが出る場合は、内部の故障が疑われます。

無理に操作を続けると悪化する可能性があるため、その際は速やかに専門業者に点検を依頼しましょう。

特に水漏れや異音がする場合は、すぐに使用を停止してください。

追い焚きにかかる時間の目安は？

追い焚きにかかる時間は、浴槽のお湯の冷め具合によって大きく変動します。

浴槽のお湯が完全に冷めきってしまっている場合や、外気温が非常に低い冬季などは、追い焚きをしても適温まで時間がかかる傾向にあります。

湯温	追い焚きの目安時間	おすすめの行動
少しぬるい（1〜2℃低下）	15〜30分程度	追い焚きで十分対応可能
かなり冷めている	1時間以上かかることも	追い焚きは非効率 残り湯を排水してから、夜間電力で沸かしたお湯で再度お湯はりがおすすめ

追い焚き機能はあくまで「少し冷めたお湯を素早く戻す」ための機能です。

ガス給湯器でさえ、水温15度のお湯を40度に温めるのに約45分かかることがあります。

冷めきっている場合は、無理に追い焚きを続けない方が経済的です。

【参考】MITSUBISHI ELECTRIC 家庭用自然冷媒CO2ヒートポンプ給湯機「取扱説明書」

沸き上げ（湯沸かし）と追い焚きはどちらが効率的？

基本的には、夜間の安い電力で沸かしたお湯を直接使う方法がもっとも効率的です。

• 高温足し湯：夜間電力で貯めた熱湯をそのまま浴槽に追加するため、コスト効率がもっとも良い
• 追い焚き：すでに温かい浴槽のお湯を再加熱するため、水から沸かすよりもエネルギー効率が良く、短時間で済む
• 昼間の沸き上げ：昼間の高額な電力を使ってヒートポンプを動かし、お湯を沸かす行為
  湯切れや残湯量が少ない状態で追い焚きをした際に発生しやすく、高コストになりがち

もし、浴槽のお湯が水に近い状態であれば、残り湯を捨てて再度お湯はりをすることも選択肢に入れましょう。

これは結果的に、金銭的・時間的コストを最小限におさえるための賢い手段でもあります。

【まとめ】エコキュートの追い焚きと高温足し湯機能を上手に使おう！

エコキュートの追い焚きと高温足し湯機能を適切に使い分けることで、お湯の再利用効率が上がり、光熱費をおさえつつ快適な入浴が可能です。

追い焚き機能は、お湯を循環させて温め直すため水道代がかかりませんが、電力消費が発生します。

これに対して高温足し湯は、タンクの熱湯を追加して短時間でお湯を温め直せますが、水道代がかかります。

季節や家族の生活スタイルに応じて、保温機能や追い焚き機能の頻度を調整し、電力や水道代の節約を図りましょう。

また、エコキュートを長く使うためには、入浴剤の選択と配管やフィルターの定期的なメンテナンスが欠かせません。

これらのポイントを押さえ、賢く使うことで、エコキュートを長く快適に利用し、日々の生活で確実にコストをおさえていけるでしょう。