ハイブリッド給湯器とは？仕組み・価格・補助金・エコキュートとの違いを徹底解説

ハイブリッド給湯器は「ガス」と「電気」のよさを融合した次世代型の給湯システムです。

湯切れのしにくさや立ち上がりの早さなど、日常の使いやすさに優れています。

また、高効率運転によって光熱費の削減も期待できるため、近年注目が高まっています。

この記事では、仕組みや価格・補助金・メリット・デメリットを整理し、エコキュートとの違いも解説します。

ご自身の家庭にあうかどうか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

ハイブリッド給湯器とは？ガスと電気を組み合わせた高効率給湯システム/h2>

【出典】リンナイ公式Webサイト

ハイブリッド給湯器は、電気のヒートポンプとガス給湯器を組み合わせた高効率タイプです。

省エネ性と快適性の両立が特徴で、家族人数が多い家庭でも安定してお湯を使えます。

• ハイブリッド給湯器の仕組み
• エコキュートとの違い
• ハイブリッド給湯器が注目されている理由

順に説明します。

ハイブリッド給湯器の仕組み

ハイブリッド給湯器は、日常の給湯を電気のヒートポンプが担当し、足りない分や急な大量使用をガス給湯器で補う仕組みです。

これにより、電気の省エネ運転をベースにしながら、お湯切れしにくい快適な使用感を実現します。

タンクに温めたお湯を蓄えておくため、一定量は安定したお湯の供給が可能です

季節や使用状況に応じて最適な運転モードに切り替わる点も魅力で、効率を高めながら、必要なときにしっかり給湯できます。

出典：ハイブリッド給湯機｜一般社団法人 日本ガス石油機器工業会（JGKA）

エコキュートとの違い

エコキュートは電気のみでお湯を沸かしますが、ハイブリッド給湯器は電気とガスの2つをあわせて使う点が大きな違いです。

電気だけでは立ち上がりに時間がかかる場面でも、ガスが補助できるため、素早くお湯を供給できます。

また、昼間の使用が多い家庭でも、効率のいい運転が可能であり、共働き世帯との相性がいい点も特徴です。

さらに、水圧も比較的強く、2階に浴室がある家庭でも快適に利用できます。

エコキュートのメリットやデメリットなど詳しい情報は、下記に掲載しています。

【関連記事】エコキュートとは？メリットデメリットやガス給湯器との違い・選び方から費用まで完全解説

ハイブリッド給湯器が注目されている理由

ハイブリッド給湯器が注目されている理由は、光熱費の削減と快適な給湯を両立できる点です。

電気のヒートポンプで省エネ運転しながら、必要なときはガスでしっかりサポートされるため、無理なく効率を高められます。

お湯切れの不安が少なく、シャワーの水圧も安定しやすいのも魅力です。

国の補助金制度の対象にもなっており、初期費用を抑えやすい点も人気の秘訣です。

高性能でありながら、家計にもやさしい給湯器として選ぶ人が増えています。

ハイブリッド給湯器の価格と利用可能な補助金

ハイブリッド給湯器は、高性能ゆえに初期費用はやや高めですが、補助金を活用すると導入負担を抑えられます。

ここでは価格とランニングコスト、利用できる補助制度を整理します。

ハイブリッド給湯器の価格相場

ハイブリッド給湯器の導入費用は、本体と工事費込みで約70〜100万円が相場です。

タンク容量や暖房機能の有無によって価格が上下し、床暖房とセットにすると100万円を超えるケースもあります。

一般的なガス給湯器より高額ですが、快適性と省エネ性能を備えているため、長く使うほど費用対効果を実感しやすい設備です。

ランニングコストの目安

ランニングコストは家庭の使い方で変動しますが、年間およそ6〜8万円が目安です。

通常のガス給湯器よりガス使用量が大きく減るため、従来のガス給湯器に比べ光熱費を40％以上抑えられるケースもあります。

通常の給湯を電気のヒートポンプでまかなうため省エネ効果が出やすく、家族の人数が多いほど節約メリットがあります。

太陽光発電と併用すると自家消費で運転できるため、コスト削減効果はさらに広がるでしょう。

「給湯省エネ2025事業」での補助額は最大15万円！

ハイブリッド給湯器は、エコキュートやエコジョーズなどとともに「給湯省エネ2025事業」の補助対象機器で、条件を満たすと1台あたり最大15万円の補助金を受け取れます。

さらに、電気温水器からの交換の場合は撤去加算（最大4万円）が上乗せされる場合もあります。

申請は登録事業者が代行するため、利用者の手続き負担はほとんどありません。

初期費用の高さが気になる家庭でも、補助金を利用すれば導入がしやすくなるでしょう。

給湯省エネ事業に関する詳しい情報は、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】給湯省エネ2025事業とは？対象機器・補助金額・申請方法を徹底解説

ハイブリッド給湯器のメリット5つ

ガスと電気の長所を組み合わせたハイブリッド給湯器は、快適性・省エネ性・使い勝手のバランスに優れています。

ハイブリッド給湯器のメリットは、主に下記の5つです。

1. 湯切れしにくく快適な給湯ができる
2. 立ち上がりが早く水圧も強い
3. 光熱費を抑える高効率設計
4. 停電時でもお湯が使える安心感
5. 床暖房や浴室暖房との相性が良い

順にみていきましょう。

湯切れしにくく快適な給湯ができる

ヒートポンプでつくったお湯を使いながら、必要に応じてガス給湯器が不足分を自動で補うため、湯切れの心配がありません。

複数の場所で同時にお湯を使う時間帯でも湯温が安定しやすく、家族が多い家庭でも快適に使えるのがポイントです。

毎日の給湯をストレスなく使いたい家庭に向いているでしょう。

立ち上がりが早く水圧も強い

ハイブリッド給湯器なら、ガスの瞬発力を活かしてお湯の立ち上がりが早く、寒い朝でもすぐに使い始められます。

また、安定した水圧を確保しやすく、2階浴室でのシャワー利用が多い家庭にも快適です。

スムーズなお湯の出始めと、しっかりした勢いのあるシャワーを求める人には特におすすめです。

光熱費を抑える高効率設計

普段の給湯は省エネ性能の高いヒートポンプでおこない、必要なタイミングだけガスを使う効率運転が特徴です。

従来のガス給湯器から切り替えると、光熱費が大幅に下がるケースもあります。

お湯を使う機会が多い家庭ほど節約効果を感じやすい仕組みです。

停電時でもお湯が使える安心感

ガス給湯方式を併用しているため、停電の時でも一定量のお湯を確保できる点が安心材料です。

災害時の備えとして、給湯設備の安定性を重視したい家庭にも向いています。

非常時でも日常生活をできるだけ維持したい人にとって、心強いメリットです。

床暖房や浴室暖房との相性が良い

温水式の床暖房や、浴室暖房乾燥機と組み合わせやすいのも特徴です。

ヒートポンプとガスを併用して効率よく運転できるため、寒い季節でも暖房設備を快適に使えます。

給湯だけでなく暖房もよく使う家庭には、使い勝手の良い選択肢になるでしょう。

ハイブリッド給湯器のデメリット・注意点

魅力が多いハイブリッド給湯器ですが、知っておきたい注意点もあります。

ここでは、後悔しないために、検討段階で確認しておきたい4つのポイントを紹介します。

1. 初期費用が高く導入ハードルが高い
2. ガスと電気の両方を契約する必要がある
3. 設置スペースや配管条件に制約がある
4. 一部地域では導入が難しい

順にみていきましょう。

初期費用が高く導入ハードルが高い

ハイブリッド給湯器は、電気式のヒートポンプとガス給湯器を組み合わせた構造のため、本体価格が高くなりがちです。

初期費用をできるだけ抑えたい家庭は、補助金の活用や他方式との比較が欠かせません。

ガスと電気の両方を契約する必要がある

ガスと電気の併用型であるため、どちらのインフラも必要になります。

都市ガス契約が前提になるケースが多く、ガス料金の基本料も継続して発生します。

オール電化の生活に切り替えたい家庭や、光熱費契約をシンプルにまとめたい人にとっては不向きかもしれません。

設置スペースや配管条件に制約がある

ヒートポンプユニットとガス給湯器の2つを設置するため、ある程度のスペースが必要です。

また、既存の配管位置や敷地形状によっては工事が難しく、場合によっては追加費用がかかることもあります。

設置条件を、事前に現地調査で確認してもらいましょう。

一部地域では導入が難しい

ハイブリッド給湯器は都市ガス対応が中心のため、プロパンガス地域では対応機種が限られる場合があります。

さらに、寒冷地ではヒートポンプの性能が低下しやすく、メーカーによっては設置ができないケースもあります。

地域特性や住環境にあわせて判断しましょう。

主要メーカーと人気のハイブリッド給湯器

ハイブリッド給湯器は複数メーカーから販売されており、特徴や得意分野が異なります。

ここでは、特に導入事例の多いメーカーの代表モデルを紹介し、選ぶ際のポイントを整理します。

リンナイ「ECO ONE（エコワン）」

リンナイの「ECO ONE（エコワン）」は、ハイブリッド給湯器の代表モデルとして広く知られています。

電気のヒートポンプとガスの瞬発力を最適に制御し、省エネ性と快適性のバランスが良い点が特徴です。

タンク容量や暖房機能のバリエーションが豊富で、床暖房や浴室暖房との連携も得意。

デザイン性にも配慮されており、戸建て住宅を中心に高い人気があります。

ノーリツ「ハイブリッド給湯・暖房システム」

ノーリツは、給湯器メーカーとしての実績が長く、ハイブリッド給湯・暖房システムも高い評価を得ています。

給湯・暖房・追い焚きを一体でコントロールする設計で、家全体の温水設備を効率よく運転できるのが強みです。

寒冷地向けモデルや暖房重視タイプなどラインナップが幅広く、地域や生活スタイルに応じた選択肢が豊富です。

パナソニック・コロナなど他メーカー

パナソニックやコロナも、地域やニーズに応じたハイブリッド給湯器を展開しています。

パナソニックは省エネ制御に強みがあり、住宅設備全体と連携しやすい点が魅力です。

コロナはヒートポンプ技術に定評があり、シンプルで扱いやすいモデルが中心。

いずれも、家庭の使用量や設置条件に合わせて選べるよう工夫されています。

特定メーカーにこだわらず比較検討したい人には特におすすめです。

ハイブリッド給湯器はこんな家庭におすすめ

ハイブリッド給湯器は、ライフスタイルや住環境によって向き・不向きがあります。

導入メリットを感じやすい家庭の特徴は、下記の4点です。

1. 都市ガスエリアに住む家庭
2. 夜間より昼間のお湯使用が多い共働き世帯
3. 追い焚きや暖房をよく使う家庭
4. 災害時にもお湯を使いたい家庭

順に解説します。

都市ガスエリアに住む家庭

ハイブリッド給湯器はガスを使う給湯方式のため、都市ガスが利用できる地域では導入しやすい設備です。

ガス料金の単価が安定しやすい点もメリットで、光熱費のバランスを取りやすいのが特徴です。

既にガス設備が整っている家庭なら、スムーズに導入できます。

夜間より昼間のお湯使用が多い共働き世帯

共働きで昼〜夕方にお湯を多く使う家庭は、必要なタイミングにあわせて効率よく給湯できるハイブリッド給湯器との相性が良いです。

ガス給湯器が不足分を補うため、忙しい時間帯でも湯量が安定しやすいのが特徴です。

生活リズムに合わせた使い勝手を求める家庭に向いています。

追い焚きや暖房をよく使う家庭

浴槽の追い焚きや床暖房・浴室暖房を頻繁に使う家庭では、ハイブリッド給湯器の暖房能力を活かしやすい環境です。

電気とガスを組み合わせて効率よく運転できるため、暖房設備との相性が良い点が魅力です。

寒い季節も快適さを重視したい家庭に向いています。

災害時にもお湯を使いたい家庭

停電時でもガスで給湯しやすい構造のため、災害対策として給湯設備の安心感を重視したい家庭に向いています。

非常時の生活を少しでも安定させたい人にとって、ライフライン確保の面でメリットがある方式です。

安心感を優先したい家庭に選ばれています。

ハイブリッド給湯器が向いていない家庭にはエコキュートも選択肢に

ここでは、エコキュートの強みが活かせる家庭の特徴を4つ紹介します。

1. 太陽光発電やオール電化を活かしたい家庭
2. 都市ガスが使えない地域の家庭
3. 夜間電力で効率よくお湯をつくりたい家庭
4. 長期的なランニングコストを抑えたい家庭

順にみていきましょう。

太陽光発電やオール電化を活かしたい家庭

太陽光発電を積極的に活用したい、またはオール電化を活用したい家庭では、電気主体で給湯できるエコキュートがおすすめです。

ハイブリッド給湯器にも太陽光と連携できるモデルはありますが、ガス併用が前提になるため、光熱費契約を1つにまとめたい家庭では、エコキュートの方が相性がいいでしょう。

太陽光発電の導入やオール電化を活用して、エコキュートをより有効に使用する詳しい情報は、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】
おひさまエコキュートとは？価格やメーカー別の特長・補助金・デメリットまで紹介
エコキュートを導入してオール電化住宅に！メリットやデメリット・費用を解説！

都市ガスが使えない地域の家庭

ハイブリッド給湯器は、ガス併用が前提となるため、都市ガス未対応の地域では選択肢が限られます。

一方、エコキュートは電気で給湯する方式のため、設置しやすい点がメリットです。

ガスインフラの整備状況に左右されない給湯器を選びたい家庭に適しています。

夜間電力で効率よくお湯をつくりたい家庭

深夜にお湯をつくって貯めておけるため、日中の光熱費を抑えやすいのが特徴です。

電気料金プランを活かしたい人に向いています。

長期的なランニングコストを抑えたい家庭

エコキュートは、ヒートポンプによる高い省エネ性能が強みで、日常的な給湯コストを抑えやすい給湯器です。

ランニングコストを重視し、将来的な光熱費の負担をできるだけ小さくしたい家庭では、エコキュートが有力な選択肢になります。

初期費用もエコキュートの方が安く、トータルコストで比較したい家庭におすすめです。

下記の記事で、ハイブリッド給湯器で代表的な「エコワン」と「エコキュート」のそれぞれのメリットやデメリットを比較していますので、参考にしてください。

【関連記事】エコワンとエコキュートの違いを徹底比較！費用や性能などの特徴からおすすめの家庭も紹介

家庭に合った給湯器を選ぶなら専門店に相談を

給湯器は、住まいの設備やライフスタイルによって最適な方式が変わります。

ハイブリッド給湯器にもエコキュートにも強みがあるため「どちらが自宅にあうのか」をプロの視点で判断してもらうことが大切です。

交換パラダイスでは、家庭ごとの使用量や設置条件を丁寧に確認し、最適な給湯プランを提案しています。

迷ったときは、まず専門店に相談してみてください。